一時、芸人たちがこぞって本を出版していた。
劇団ひとりの「陰日向に咲く」に始まり、千原
ジュニアの「14歳」、麒麟田村の「ホームレス中学生」は、
まだ記憶に新しい人も多いだろう。
どれも一通り読んだのだが、個人的には、劇団ひとりの
「陰日向に咲く」が秀逸だと思う。
まず、読み手をあきさせない、リズムよい文章に驚いた。
そして、深い深い、物語。人間のだめな部分をしっかりと、
でもどこかやさしく描いている。
個人的に好きなお話は、「ピンボケな私」完全に男に馬鹿にされ、
主体性を持たずに生きる女の子の姿が、最初はイライラするのだが、
最後にはいとおしく、思わず応援したくなるのだ。
映画化もされた、「陰日向に咲く」残念ながら、映画のほうは
駄作感が否めなかったのだが、小説はいまだにお気に入りの1冊
なのである。